事業紹介

臨床研究てらこ屋

臨床研究を
デザインするための
基本を身につける

臨床研究に関心のある臨床医を対象

「臨床研究デザイン塾」は、これまで10年以上にわたり続けられ、170名以上の塾生が参加されました。この塾の特徴は、少数の若手医師(主に腎臓内科医)が、長期間(約1週間)の合宿を通じて切磋琢磨し、チームワークを醸成することなどであります。一方で、腎臓内科医以外、医師以外の医療者、より広範な年代からの参加要望が増えてきました。これを受けて、全ての医療者を対象としたより短期(半日から2日)間のセミナーとして企画されたのがこの「臨床研究てらこ屋」です。

福原 俊一 先生

「臨床研究てらこ屋」は、2006年以来、毎年、iHopeによって開催されてきました。このてらこ屋を考案し、長らく「塾長」として協力してこられた福原俊一先生(京都大学 特任教授/ジョンズホプキンス大学 客員教授)に伺いました。

歴史

てらこ屋は、2004年に開講した「腎臓・透析医のための臨床研究デザイン塾」にその起源があります。塾は、全国の若手臨床医を対象にした集中的な合宿形式で、17年間で180名以上の塾生が参加しました。塾生の中から教授6名を輩出、1000編以上の英文原著論文が発信されています。この塾による日本の腎臓透析領域の臨床研究の質向上への貢献に対して、日本腎臓財団から学術賞が授与されました。

この塾の存在が徐々に知られるようになり、希望者が増えました。塾には人数制限があるため、そのニーズに応えるために考案したのが臨床研究のてらこ屋でした。基本的に臨床医を対象に開催してきましたが、これとは別に、「多職種のためのてらこ屋」を北海道で、また整形外科、炎症性腸疾患(IBD)など専門領域別のてらこ屋も開催してきました。

特徴

このてらこ屋で本格的に導入したのが、小グループによる参加型の学習方略でした。この学習方式方略は、1方向性の講義とは異なり、受講者が積極的に参加し、他の受講者と議論することを求められるものです。当初戸惑う受講者もいましたが、今ではそのような方は殆どなく、受講者から高い評価をいただいております。

一方で、小グループ実習は労働集約的で多くの「ファシリテーター」を必要とします。毎回約10名の専門家を集めるのは大変でしたが、幸い塾生や京都大学などの有志が協力してくれています。毎年開催される、「元祖」てらこ屋は、塾生のお一人、佐田憲映先生(高知大学臨床疫学 特任教授)が、「多職種」てらこ屋と「IBD」てらこ屋は、それぞれ京都大学講師の紙谷司先生と山崎大先生が、運営して下さっております。

チャレンジ

新型コロナパンデミックにより、これまで行われていた対面式学習が困難となり、2年前からオンライン形式となりました。iHopeは2013年から遠隔学習プログラムを開講しておりましたので、オンライン形式の教育はかなり成熟していました。そのため、今回のパンデミックにおいても問題なくオンラインで開催することができました。

2021年11月23日:
高知県土佐清水市窪津漁港で釣ったアオリイカと私

佐田 憲映
高知大学 臨床疫学 特任教授
(腎臓・透析医のための臨床研究デザイン塾 4期生)

プログラム委員長の佐田です。てらこ屋では臨床研究の入門として、臨床研究の楽しさを感じていただけるよう企画を行っています。毎年、専門分野を問わず多くの参加者から好評をいただいてます。2020年からは完全オンライン開催となり、てらこ屋のいいところを損なわないように企画するのは大変でしたが、「移動の制限がなくなったので参加できた」、と喜ばれる声もありました。2022年は、オンラインとオンサイトのいいとこ取りができるよう鋭意企画中です。

「臨床研究てらこ屋」にご参加いただいた方からのメッセージをご紹介いたします。

道立江差病院 内科
箱崎 頌平先生

今回は過去に参加した上司の先生にすすめられ参加をしました。臨床研究についておおまかに理解することができ、さらには Pubmed の使い方(文献検索の仕方)や批判的吟味(論文の読み方)は、たとえ臨床研究をしなくても重要なことだと思うので、明日からすぐに使える技術だと思いました。今回のセミナーは7つのステップの2、3とのことでしたので、教科書を読んだりセミナーに参加するなどして研鑽したいと思います。自分が良いクリニカル・クエスチョンを得ることができたら、ぜひ臨床研究をやってみたいと思いました。ありがとうございました。

(2019年 第9回 臨床研究てらこ屋)

香川大学医学部附属病院 腎臓内科
大西 啓右先生

臨床研究を考えるにあたって、各ステップを考えていくことの必要性について再認識しました。実際にケーススタディで考えると、本ではわからないことを学ぶことができたし、一つのクリニカル・クエスションでも、いくつものリサーチ・クエスチョンができることが分かりました。まず小さなクリニカル・クエスチョンをあげて、一つでもリサーチ・クエスチョンを作ってみたいと思いました。

(2018年 第8回 臨床研究てらこ屋)