「応援します!福島の医療!!」プロジェクト

2011年3月11日、東日本を襲った東日本大震災は多くの被害者、被災者を産み、また、福島第一原子力発電所の事故は未だ多くの被災者と国民に暗い影を落としています。iHopeは震災当初からこの未曾有の事態において、iHopeとして何ができるのか、どうすればお役に立てるか、を考えて参りました。そして、ささやかでもiHopeでしかできない支援を継続的かつ長期的に行うことが使命と考えました。それが医療分野における支援、それも特に医療者への支援、「応援します! 福島の医療!!」プロジェクトです。

第1回 會津藩校日新館「臨床研究デザイン塾™」開催報告

2013年7月26日(金)~28日(日)   (於:福島県土湯温泉 旅館 向瀧)

「臨床研究デザイン塾™」は、「10年後を見据えて医療に変化をもたらす、次世代人材の育成事業」として2004年iHope設立当初から開始し、最短でも一年はかかる大学院等のカリキュラムに参加できない多忙な臨床家に、これまでにない学習の機会を提供しています。

特に腎臓・透析医の領域ではこれまで100人以上の塾修了生が巣立ち、日々の臨床現場での気づきを科学的スキルと方法論をもとに研究し、結果を診療現場に還元することで患者の皆さまや医療者に大きな貢献をされています。

今回、弊機構学術諮問委員、京都大学教授であり、福島県立医科大学副学長 福原俊一先生がセンター長を務められます福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター主催により、家庭医や内科医などを対象とした會津藩校日新館「臨床研究デザイン塾™」を開催いたしました。

福原俊一先生は、この塾を福島で開催する大きな意味、福島の未来、そして日本の医療の未来を思い、力強い信念を持って開催準備を始められました。必ずこの塾を成功させること、少なくとも10年継続し、多くの臨床研究家を育て、その成果を世界に発信していく、そんな考えを共有する福島県立医科大学整形外科学講座をはじめ、日本各地にいらっしゃる同志の先生方26名が講師、ファシリテーターや様々な役割を担い、本塾に集結されました。弊機構の「てらこ屋」や「塾」出身の先生方も遠方から駆けつけてくださり、運営担当の私どもiHopeも、「塾」の旗を福島に掲げ、精一杯の協力を誓い当日運営に臨みました。

募集開始から口コミで徐々にお申し込みが増え、最終的には卒後年数2年から23年まで、専門領域も20領域以上、合わせて60名の先生に全国各地からご参加いただきました。プログラム委員会の懸念は、塾生同志のコミュニケーションが図れるのか、専門領域の異なるメンバーでグループワークは進むのか、ということでした。運営側の心配は、研修会の設備もない旅館で塾生分の椅子や机の手配をどうするか、温泉旅館という施設をどう活用するのか、それぞれ高いハードルを抱えての始まりでした。

しかし、「塾」に参加する塾生の皆さまの情熱は私たちの心配を吹き飛ばしてくださいました。初日のオリエンテーションから、積極的に参加くださり、その拍手と笑顔はiHopeの関わるセミナー随一の盛り上げを作ってくださいました。2泊3日の開催期間中、寝食を共にし、学び、過ごし、臨床研究の理念を共有し、新しい仲間を作る、といった塾が目指すひとつの意義を、塾生の皆さまはご自身の力で見事に達成されたのです。もちろん、ファシリテーターの先生や関係者の先生方による温かいサポートや、つかず離れずのファシリテートがそこには沢山ありました。

全プログラムを滞りなく終え、発表会では11グループすべてが見事な発表をされました。どの発表も審査員の先生方が驚かれるほどレベルの高い内容で、審査には予想以上に時間を要しましたが、「最優秀グループ賞」と「福島未来賞」の2賞が選ばれ、それぞれ表彰状と副賞が贈呈されました。修了式と表彰式の後は、緊張から解き放たれた塾生を中心に大盛況のフェアウェルパーティーとなりました。幹事、世話人、審査員、講師、ファシリテーターの先生方、そして塾生からも思い出や、気づき、内輪話など3日間を思い起こす楽しいお話が聞かれ、その充実感は集合写真に写るそれぞれのお顔に表れているかと思います。

また、会場である旅館 向瀧の従業員の方々は、ご多忙の中、何度も打ち合わせに時間を費やしてくださり、初めての研修会開催のため、全館を挙げてあらゆる手をつくしてくださいました。スクリーン映像を見やすくするために、暗幕を借り、窓に配してくださったり、講義と宴会の入れ替わりには60人分の机と椅子の移動もあっという間に作業をしてくださいました。その他、細かい備品の手配から見えないところでのご配慮など向瀧様の全面的なご協力なくして本塾の開催はなしえませんでした。

さらに、地元の皆さまにもご支援を賜りました。JA塙病院様からは福島のおいしいジュースを沢山差し入れていただきました。同病院事務長の加藤洋志様がわざわざお出ましくださり、差し入れとともに福島への想い、日本の未来への期待を込めた熱いメッセージもご披露いただきました。
また、福島県立医科大学整形外科学講座、整形外科学講座同門会の先生方には一言で表せないほどのご協力をいただきました。その他にもあらゆる方面からのご支援のお蔭をもち、本塾が盛会裏に終ることができたと思っています。

そして、塾期間中から臨床研究の継続学習を希望される熱心な先生方が多くみられたこともうれしいことでした。福島県立医科大学イノベーションセンターに新たに設置される臨床研究フェローシップ※1、弊機構のMAP※2(医療者のための臨床研究系統的学習プログラム)にもご関心をいただき、臨床研究の大きな波を実感するとともに、そのニーズに応えるべくますますの努力が必要だとも痛感しました。ご参加された先生方からいただいたアンケートからは、異なる専門領域の先生方と情報交換をされ、診療で感じられる疑問、日々の悩みまで、学習以外にも普段得る機会のない貴重な時間となったというご意見を多数いただきました。そのような場面を作ることに少しでも貢献できたとするならば、本当にうれしい限りです。この3日間が、医療というフィールドで活躍される塾生の皆さまの一助になり、引いては「福島から変わる、日本の医療全体が変わる」、そのような力となることを心よりお祈り申し上げます。最後に、この塾にご参加いただいた塾生の皆さまと、関係された多くの皆さま全員に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。

この塾を通じて、今後も福島支援の活動を継続的に行ってまいりたいと気持ちを新たに致しました。
「応援します!福島の医療!!」

※1 福島県立医科大学臨床研究フェローシップ
ご関心のある方はiHope Public Relations【pr*i-hope.jp (*を@にしてお送りください)】までご連絡ください。

※2 MAP(医療者のための臨床研究系統的学習プログラム)
ご関心のある方はiHope MAP事務局【map*i-hope.jp(*を@にしてお送りください)】までご連絡ください。

會津藩校日新館は開催、運営とは関係がございませんので、直接お問い合わせされませんようお願い申し上げます。

臨床研究てらこ屋 in ふくしま

医療者の多くは臨床現場においても診療上の疑問を感じていらっしゃいます。その疑問を科学的な研究のまな板にのせ、検証し、その結果を還元することを可能にする臨床研究は、現場の医療者の目を輝かせ、医療の質の向上にもつながります。研究現場への還元が可能となる臨床研究は、医療者の一助になります。iHopeではこれまで9年間実施してきました人材育成活動(「塾」、「てらこ屋」)の中で、医療者の皆さんが臨床研究の手法を学び、研究に活用することでモチベーションを高められ、元気になられていく様子を目の当たりにしてきました。この経験と運営のスキルを活かし、「臨床研究てらこ屋inふくしま」を無償開催いたし、医療者の皆さんに気持ちを強く、モチベーションを高く持ち続けていただければと考えました。

このご支援は、iHope学術諮問委員の京都大学福原俊一先生のご発案に、iHopeが全面支援をする形で、京都大学を始めとする有志の皆さんがこのプロジェクトにご参加をいただきました。東日本大震災後も被災地に踏み留まり、医療の最後の砦である福島県立医科大学を守り続けている医療者の皆さまに、臨床研究の学びの場を無償で提供いたしました。同大学先端医療研究推進・支援センター 臨床研究部門から正式なご依頼を受け、「臨床研究てらこ屋inふくしま」は1月から3月まで全3回開催いたしました。

iHope主催セミナーのひとつであるこの「てらこ屋」はキャラクターの寺五郎とともに臨床研究のいろはを学んでいただくことをコンセプトとしております。今回のグループワークでは医局や専門領域を超えたメンバーで一つのリサーチクエスチョンを構築することに挑んでいただきました。参加者の皆さまの間には回を重ねるごとに仲間意識が生まれ、楽しく、熱い時間を共有していただくことができました。「今後の医療や臨床研究に対してのモチベーションになった」といったうれしいご意見も数々頂戴し、一同安堵いたしました。開催にあたり、福島県立医科大学整形外科学講座の先生方にはご多忙にもかかわらずご協力いただき、滞りなく終了できましたこと、心より御礼申し上げます。今後も機会を設け、継続的な学習のご支援ができれば大変にうれしいことと思います。

開催日時

第1回 2012年1月7日(土) 13:00-18:00
第2回 2012年2月3日(土) 13:00-18:00
第3回 2012年3月3日(土) 13:00-18:20

場所

福島県立医科大学内

対象

臨床経験3年以上の医師 参加登録29名

主催

福島県立医科大学 先端医療研究推進・支援センター 臨床研究部門
実行委員長:和栗 聡
実行委員:大竹 徹、関口 美穂

顧問

福島県立医科大学 理事長兼学長 菊地 臣一
福島県立医科大学 教育研究担当理事兼副学長 阿部 正文
福島県立医科大学 副学長 山下 俊一
福島県立医科大学 医学部整形外科学講座 教授 紺野 愼一

協力

京都大学大学院医学研究科 医療疫学 教授 福原 俊一
京都大学大学院医学研究科 医療疫学有志
認定NPO法人 健康医療評価研究機構 (iHope International)

東北地方太平洋沖地震による健康障害の予防・治療に関する学術情報リソース

iHopeにご協力くださっている京都大学医学研究科 社会健康医学系専攻では、コクラン共同計画より緊急許可を得て、evidence aid: 地震・洪水・メンタルヘルスの情報リソースを翻訳し、専攻の有志の先生方をあげて1日で作業を終え、被災地での医療活動への情報提供を2011年3月18日に早々にアップされました。ここにご紹介申し上げます。

学術諮問委員の福原俊一先生が福島県立医科大学の副学長に就任されました

学術諮問委員の福原俊一先生が平成24年10月1日付で、福島県立医科大学の副学長に就任されました。
(現職の京都大学大学院医学研究科教授と兼任)

福原先生は以前から福島県立医科大学の要請に対し、アドバイザーとしてご意見を述べられていましたが、この度、副学長というお立場で人材育成に関して従事されることとなりました。「てらこ屋inふくしま」でもその中心としてリードされた先生ですが、今後は、大学の中心から、さらに福島からどのような教育を発信されるのか、iHopeとしても「応援します!福島の医療!!」プロジェクトの一環として、引き続き先生の動静を意識し、ご支援、ご協力できればと考えております。

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