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「臨床研究てらこ屋 in 北海道」のファシリテーターが「第42回 代田賞 奨励賞」を受賞しました。

加藤竜司先生「臨床研究てらこ屋 in 北海道」のファシリテーターをご担当いただいた鍼灸師の加藤竜司先生(ワロン鍼灸治療院)が、「第42回 代田賞 奨励賞」を受賞されました。

代田賞は、鍼灸の発展向上のために尽くされた代田文誌(しろたぶんし)先生(1900年~1974年)の遺徳功業を顕彰するために創設された代田文誌先生顕彰会により、1977年から毎年、代田先生の命日に授与しているものです。

<受賞論文>

加藤竜司,鈴木雅雄,福田文彦,加藤麦,伊藤和之,石崎直人.
鍼灸院通院患者の受療状況と満足度に関する横断研究.
全日本鍼灸学会雑誌.2017; 67(4): 297-306

<加藤竜司先生の受賞コメント>

昨年7月に札幌で開催されたセミナー「臨床研究てらこ屋 in 北海道」(iHope 主催)にてファシリテーターをさせていただきました、鍼灸師の加藤竜司です。

この度、2017年11月に全日本鍼灸学会雑誌に投稿した原著論文にて、鍼灸界で名誉ある賞の一つである代田賞の奨励賞を受賞することができました。

私は日本で最も歴史のある鍼灸の専門大学 明治国際医療大学(旧 明治鍼灸大学)大学院修士課程を修了し、現在は地元の札幌に帰り、ワロン鍼灸治療院の院長を務めるとともに、札幌スポーツ&メディカル専門学校の教員として臨床と教育に携わっています。

今回受賞した論文は、大学院在学時に調査研究を行ったものを原著論文にしたもので、論文作成にあたり福島県立医科大学准教授の鈴木雅雄先生にご指導いただきました。

また、大学院在学時の2011年に京都で開催されたセミナー「運動器疾患の臨床研究てらこ屋(LOCOMO C3)」(iHope主催)に鈴木先生のお誘いで参加し、書籍「リサーチ・クエスチョンの作り方」(福原俊一 著/iHope刊)などで事前学習したことが元になり、今回のような賞をいただける論文を作り上げられたと思っています。

この研究は、全国の鍼灸院に通院している患者さんを対象に、鍼灸治療を受けている症状などの受療状況や満足度について調査を行い、そこから満足度に影響を与える要因についても考察した、疫学調査の横断研究です。
調査時の国民生活基礎調査との比較で鍼灸特有の結果が出たことや、10年前の調査との比較でも結果に変化があったことなど、興味深い結果になっています。

研究にあたり、リサーチ・クエスチョンはもちろん、研究デザイン、測定デザイン、バイアス、交絡因子、統計解析についてなど「臨床研究てらこ屋」で学んだことをしっかり踏まえたことが、完成度の高い研究と原著論文を作り上げられた一因だと受賞をして実感しました。
選考委員からの講評でも、リサーチ・クエスチョンの良さを評価していただきました。

調査研究は、研究分野ではあまり表舞台に出づらい分野ですが、今回受賞したことで業界内外に少しでも認知され、また鍼灸がどのようなものかを一般の方に知っていただくきっかけの一つになればと思います。

今回このような賞をいただけたことに満足せず、今後も臨床と教育、そして研究に精進していきたいと思います。